この記事の要約(Key Takeaways)
- 例文:That is my bag.(あれは私のかばんです)と I know that he is busy.(彼が忙しいのは知っている)では、that の役割がまったく違います。
- 違い:指示語・接続詞・関係代名詞・強調の4つの働きがあり、訳し方も変わります。
- 別表現:距離が近いものは this、既出のものを受けるなら it を使います。
英語でもっとも登場回数の多い単語のひとつがthat です。ところが、その働きはひとつではありません。指をさす that、文をつなぐ that、名詞を説明する that。役割ごとに整理しておくと、長い文を読むときの負担がぐっと軽くなります。
まずは指示語としての that
基本は「あれ・それ・あの」。話し手から離れているものを指します。手元にあるものが this、少し離れていれば that という距離の使い分けです。
物理的な距離だけでなく、時間や心理的な距離にも使えます。That was fun. なら、終わった出来事を振り返っている言い方になります。
文をつなぐ that と、名詞を説明する that
接続詞の that は「〜ということ」。I know that he is busy. のように、文をまるごと名詞のかたまりにします。会話では省略されることが多く、I know he is busy. でも通じます。
関係代名詞の that は、直前の名詞を説明します。the book that I bought なら「私が買った本」。which や who の代わりとしても使え、人にも物にも対応できる便利な語です。
例文5パターン

①指示語として
That is my bag over there.
あそこにあるのが私のかばんです。
②接続詞として
I know that he is busy right now.
彼が今忙しいのは分かっているよ。
③関係代名詞として
The book that I bought yesterday is great.
昨日買った本、すごくいいよ。
④強調の形で
It was you that broke it.
それを壊したのは、ほかでもない君だ。
⑤副詞的に程度を表して
It is not that expensive.
そこまで高くはないよ。
通訳者が教えるニュアンスの深掘り
通訳の現場で意外と効くのが、that を聞いた瞬間にどの用法か判断する力です。判断の手がかりを整理しておきます。
| 用法 | 直後に来るもの | 訳し方 |
|---|---|---|
| 指示語 | be動詞や名詞 | あれ・その |
| 接続詞 | 主語+動詞の文 | 〜ということ |
| 関係代名詞 | 動詞または主語 | 直前の名詞を説明 |
| 強調構文 | It is … that の形 | 〜なのは…だ |
| 副詞 | 形容詞 | そんなに・それほど |
混同しやすいのがthat と it です。it はすでに話題に出たものを受けるのに対し、that は相手に注意を向けさせる働きを持ちます。だから、指をさす場面では it ではなく that を使います。
次に読みたいフレーズ
学校で習った文法が、実は日常会話の気づかいに直結している——そんな例をもうひとつ見ておくと、文法の見え方が変わります。
使い方のポイント・注意点
- 接続詞の that は会話では省略されるのが普通です。
- 関係代名詞の that は人にも物にも使えます。
- 複数形は those。that の複数は these ではありません。
- 副詞の that(そんなに)は否定文でよく使われます。
- it との違いは注意を向けさせるかどうか。指し示すなら that です。
まとめ:「that」の使い方
that には指示語・接続詞・関係代名詞・強調・副詞という複数の顔があります。ひとつの単語として覚えるより、直後に何が来るかで見分けるほうが実戦的です。読解でも会話でも、この判断が速くなると英語の負荷が確実に下がります。
次のステップ:表現を「使える」英語にするには
この使い分けも、「ルールを知る」と「会話でとっさに使える」とのあいだには、実は大きな差があります。
なぜ「知っているのに口から出てこない」のか——10年間プロ通訳をしてきた経験から、その理由を5つの特徴にまとめました。

