この記事の要約(Key Takeaways)
- 会話例:She has sharp elbows.(彼女は押しが強い)のように、目的のために人を押しのけてでも進む姿勢を表します。
- 違い:ambitious が野心そのものを指すのに対し、sharp elbows は他人を押しのける手段まで含みます。
- 別表現:pushy(強引)、cutthroat(容赦ない)が近く、肯定的に言うなら go-getter になります。
満員電車で、肘を張って前に出ていく人。あの動きがそのまま比喩になったのがsharp elbowsです。直訳は「鋭い肘」。物理的に人を押しのける動作から、成功のためなら手段を選ばない押しの強さを表す表現になりました。
英英辞典では、成功や前進のために強引になれる意志と能力、と説明されます。競争心が強く決然としている場合もあれば、実際に人を押しのける場合もある——その両方を含むのがこの表現です。
日本語にすると「押しが強い」「したたか」「なりふり構わない」あたり。評価が固定されていないのが特徴で、称賛にも批判にもなります。文脈と語り手の立場しだいで、意味が反転する言葉です。
どんな場面で使われるか
もっとも多いのは政治とビジネスです。昇進争い、社内政治、選挙戦。競争の激しい世界で成果を出す人物を評するときに、記事や会話で頻繁に登場します。
スポーツや学業の場面でも使えます。共通するのは限られた席を奪い合う状況。誰かが前に出れば誰かが後ろに下がる——そういう構図があるところで、この表現は生きてきます。
会話例5選

①職場の評判として
She has sharp elbows, and that is how she got the position.
彼女は押しが強い。だからこそあのポストを手にしたんだ。
②同僚との会話
You need sharp elbows to survive in this industry.
この業界で生き残るには、押しの強さが要るよ。
③ニュースの話題で
The candidate is known for his sharp elbows.
あの候補者は、なりふり構わない姿勢で知られている。
④友人との会話
He elbowed his way to the top without caring who he hurt.
誰を傷つけようとおかまいなしに、トップまで駆け上がったんだ。
⑤自分について
I do not have the sharp elbows for corporate politics.
社内政治を戦えるほどの押しの強さは、私にはないな。
通訳者が教えるニュアンスの深掘り
「押しが強い」を英語にするとき、やり方まで問題にするかどうかで語が変わります。ここを外すと、ほめたつもりが批判になります。
| 表現 | ニュアンス | 評価 |
|---|---|---|
| sharp elbows | 人を押しのけてでも進む | 文脈しだい。称賛にも批判にも |
| ambitious | 野心がある | 基本は中立〜肯定 |
| go-getter | 積極的に成果を取りに行く人 | 明確にほめ言葉 |
| pushy | 強引でずうずうしい | 否定的 |
| cutthroat | 容赦ない。蹴落とす | 強く否定的 |
本人を前にして使うなら要注意です。能力を認めつつ、やり方には含みを残す——そういう微妙な位置にある言葉なので、ほめ言葉として使うなら go-getter のほうが安全です。
次に読みたいフレーズ
同じ押しの強さでも、はっきり否定的に響く形容詞があります。sharp elbows との温度差を知っておくと、人物評の精度が上がります。
使い方のポイント・注意点
- 基本はhave sharp elbows。複数形で使い、単数にはしません。
- 形容詞的にsharp-elbowed(ハイフンあり)として名詞の前に置けます。
- 動詞のelbow one’s way(押しのけて進む)も同じイメージから来ています。
- 報道や評論でよく使われる、ややフォーマル寄りの語感です。
- 面と向かって言うと角が立ちます。第三者を評する文脈が基本です。
sharp elbows は「押しの強さ・なりふり構わない野心」。肘を張って前に出る、あの物理的な動きがそのまま人物評になった表現です。ほめているのか批判しているのかは文脈しだい。だからこそ、使うときも読むときも、前後の言葉に目を配ってみてください。
次のステップ:表現を「使える」英語にするには
この表現も、「意味を知る」と「会話でとっさに使える」とのあいだには、実は大きな差があります。
なぜ「知っているのに口から出てこない」のか——10年間プロ通訳をしてきた経験から、その理由を5つの特徴にまとめました。

