目次
この記事の要約
- 会話例で「(かわいそうで)〜できない」の自然な使い方がわかる
- not have the heart と don’t have the courage / can’t bring myself の違いがわかる
- 「言うのが忍びない」を伝えるネイティブの別表現が身につく
「I didn’t have the heart to …」を「勇気がなかった」と覚えていませんか?
実はそれは少しズレています。正しくは「(相手がかわいそうで)〜する気になれなかった」。思いやりからくる“ためらい”を表す表現です。
記事の信憑性
筆者はアメリカ在住5年、米国大学を卒業。ニューヨークで約2年間プロジェクトに関わりました。さらに企業の代表取締役の通訳・翻訳を約10年担当していました。
「not have the heart to」の基本的な意味
not have the heart to do something は、
「(相手を悲しませたり傷つけたりするのが忍びなくて)どうしても〜できない」という意味です。
not have the heart to do something:to be unable to do something because it would make someone unhappy(英英の定義より)
ポイントは、できない理由が「勇気のなさ」ではなく「優しさ・思いやり」だということです。
どんな場面で使うのか
相手をがっかりさせる・傷つけると分かっているとき。
「本当のことを言えない」「断れない」「起こせない」など、優しさが行動にブレーキをかける場面で使います。
ほとんどの場合、過去形の I didn’t have the heart to … で使われます。
会話例5選

① 家族で
A: Did you wake the kids for dinner?
(子どもたち、夕飯に起こした?)
B: No… I didn’t have the heart to. They looked so peaceful.
(いや…あんなに気持ちよさそうで、起こすのが忍びなくて)
② 友人に
A: Did you tell him the trip got canceled?
(旅行が中止になったこと、彼に言った?)
B: I didn’t have the heart to. He was so excited.
(言うのが忍びなくて。あんなに楽しみにしてたから)
③ 職場で
A: You rejected her proposal?
(彼女の企画、却下したの?)
B: I didn’t have the heart to. She’d worked on it for weeks.
(できなかったよ。何週間もかけて準備してたから)
④ 恋愛で
A: So how did you end things?
(で、どう別れを切り出したの?)
B: Honestly, I didn’t have the heart to do it over text.
(正直、メッセージで切り出す気にはなれなかった)
⑤ 日常で
A: Why didn’t you return the puppy?
(なんで子犬を返さなかったの?)
B: He looked so sad—I just didn’t have the heart.
(あんまり悲しそうで、どうしてもできなかった)
通訳者が教えるニュアンスの深掘り
「〜できない」と訳せる表現はいくつもありますが、できない“理由”が違います。
ここを取り違えると、相手に伝わる印象が変わってしまいます。
| 表現 | できない理由・ニュアンス |
|---|---|
| not have the heart to ~ | 優しさ・思いやりで〜できない(相手を傷つけたくない) |
| don’t have the courage / guts to ~ | 勇気・度胸がなくて〜できない(怖さの問題)※混同注意 |
| can’t bring myself to ~ | どうしても〜する気になれない(理由はさまざま) |
| can’t face ~ing | 気が重くて〜に向き合えない |
「勇気がなかった」と言いたいなら don’t have the courage / guts。
not have the heart は、あくまで“優しさゆえのためらい”です。
次に読みたいフレーズ
つらい知らせを思いやって受け止める場面では、次の表現もセットで役立ちます。
使い方のポイント・注意点
- 「勇気がない」ではない——理由は“思いやり”(courage と混同しない)
- 形は not have the heart to + 動詞の原形
- 実際は過去形 I didn’t have the heart to … が圧倒的に多い
- 文脈が明らかなら to 以下を省略して I didn’t have the heart. とも言える
- 言い換えは couldn’t bring myself to ~(思いやり以外の理由でも使える)
まとめ:「not have the heart to」の意味
not have the heart to do something は「(かわいそうで)〜する気になれない・〜するのが忍びない」。
「勇気がない」ではなく、優しさからくるためらいを表す表現です。
次のステップ:表現を”使える”英語にするには
この表現も、「意味を知る」と「会話でとっさに使える」とのあいだには、実は大きな差があります。
なぜ”知っているのに口から出てこない”のか——10年間プロ通訳をしてきた経験から、その理由を5つの特徴にまとめました。

